片付く家にするための収納リフォーム術|動線で変わる“散らからない暮らし”

家を片付けても、数日でまた元どおり……。
そんな悩みを抱えるご家庭は少なくありません。
実は「片付かない家」には共通する原因があり、それは “収納量の不足”ではなく“収納の位置と仕組み”が合っていないこと がほとんどです。
収納リフォームは、家の中の“動線”に合わせて物の居場所を作ることで、劇的に片付く家になります。
この記事では、実際のリフォームで使われるプロの視点を交えながら、片付く家のための収納リフォーム術を詳しく紹介します。

1. 片付かない家に共通する3つの原因

家が散らかりやすいのは、性格や「片付けが苦手だから」ではありません。
ほとんどの場合、以下のポイントが原因です。

① 戻す場所まで遠い

リビングに置きっぱなしの原因は「しまう場所が遠い」から。
収納があっても、動線に合っていなければ使われません。

② 収納が“高さ・奥行き”のニーズと合っていない

奥行きが深すぎる、上の棚が高すぎるなど、
使いにくい収納は“存在していない”のと同じです。

③ 物の“住所”(決まった場所)がない

家族が戻す場所を認識していないと散らかりやすくなります。
収納リフォームは「家族みんなが迷わず戻せる仕組みづくり」です。

2. 収納リフォームの基本は「動線×使用頻度」

プロが収納を設計する時、最も重要視するのは 動線(動く線)使用頻度 です。

  • よく使うもの → 一番使う場所の近くに、手に取りやすい高さで配置
  • たまに使うもの → 上部や奥など“遠い位置”へ
  • 収納する流れが1〜2手で完結するかどうか

特に家庭では「歩数」が重要です。
片付けの成否は “戻すまでの歩数を減らす” ことで決まります。

3. 場所別|片付く家にする収納リフォーム術

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■ ① キッチン編:ストレスゼロの「探さない」キッチンへ

● パントリーの新設・拡張

食材、日用品、ストック品が行き場を失うのは、収納の“分類”ができていないから。
パントリーがあれば 食材・日用品・調理道具の住所が明確 になります。

  • 可動棚にすると季節ごとの量の変動にも対応
  • 扉付きなら生活感を隠せる
  • 回遊動線型など動線に合わせて選べる

● ニッチ収納(壁厚収納)の活用

調味料、サプリ、よく使う小物などは 奥行き15cm の浅型収納が最適。
取り出しやすく、仕舞いやすいため“戻せる”キッチンになります。

● ゴミ箱スペースの造作

意外と多くの家庭で「ゴミ箱の置き場所問題」が発生しています。
造作スペースにすると、床に物が出ず、動線もスムーズに。

※クリナップ:ステディア

■ ② リビング編:家族の“散らかる原因”に直撃

リビングが散らかる理由は 物が集まる場所なのに収納が足りない から。

● 壁面収納で生活感をまとめて隠す

テレビ周りの造作収納はリビングを劇的にすっきりさせます。
配線類も隠せるため、掃除がしやすいのもメリット。

● 子どもの“人別収納”を作る

ランドセル・学用品・習い事セットなど、子どもが持つものは多い。
子ども専用の収納スペースを作ることで 「戻す習慣」 が自然と身につきます。

● おもちゃ収納は“成長フィット”させる可動棚を

幼児期と小学生ではおもちゃの大きさが大きく変わるため、
可動式の棚は長く使える収納リフォームとしておすすめ。

■ ③ 洗面所・脱衣所編:片付く人ほど“縦の空間”を使っている

洗面・脱衣所は収納が少ない場所の代表。
だからこそリフォームの工夫で使い勝手が大きく変わります。

● 洗剤・タオルのストック棚を増設

奥行きは浅くてOK。
浅い方が“全部見える収納”になり、在庫管理が簡単になります。

● 「洗う→干す→しまう」が1か所で完結する動線収納

  • 造作カウンター(洗濯物をたたむ場所)
  • 上部の物干しバー
  • 下部の家族別収納

この3つが揃うと、家事の手間が大幅に減ります。

4. デッドスペースを収納に変える“ニッチ・壁面”テクニック

収納リフォームでは、家の“余白”を使うのもポイント。

● 階段下収納

奥行きがあるため、掃除道具・季節用品などに最適。

● 廊下の壁厚収納(ニッチ)

奥行き15〜20cmで日用品の定位置に。

● 壁一面の造作本棚

インテリア性と実用性が両立し、趣味のスペースにも。

小さなスペースでも収納に変えるだけで、家の使い勝手が見違えるほど変わります。

5. リフォーム前に必ずやるべき準備

リフォームの満足度を左右するのは “事前の棚卸し” です。

① 家にある物の量を把握する

収納だけ増やしても、物があふれていると逆効果。

② よく使う物・使わない物を分類

使用頻度に合わせて収納場所を決められる。

③ 将来の暮らし方をイメージ

子どもの成長、在宅ワーク、趣味の変化などを盛り込むと失敗しない。

④ 収納は“増やす”だけでなく“使いやすくする”が重要

使いにくい場所の改善にこそリフォーム効果があります。


片付く家は“仕組み”と“動線”で作れる

収納リフォームは単なる「物をしまう箱」を増やす工事ではありません。
暮らしの動線に合わせて物の住所を作る ことで、
家族みんなが自然と片付けられる家になります。

  • 戻すまでの歩数を減らす
  • 使う場所のそばに収納を作る
  • デッドスペースを活用する
  • 家族が使いやすい位置・高さを設計する

これらのポイントを押さえれば、
家は“無理して片付ける場所”ではなく
自然と片付くラクな住まいに変わります。

収納に困っている方、片付けのストレスから解放されたい方こそ、
収納リフォームで「片付く仕組み」を整えてみてはいかがでしょうか。