増築ってどこまでできる?建ぺい率・容積率の基本と注意点
「もう一部屋欲しい」「リビングを広くしたい」と思い立ったとき、まず気になるのが「増築ができるかどうか」という点。
しかし建物の大きさには法的な上限があり、建ぺい率や容積率の制限を超える増築は原則できません。
この記事では、増築前に知っておきたい建ぺい率・容積率の基本と、増築で失敗しないための注意点を解説します。
この記事は、次の人におすすめです!
・家族が増えて家が狭くなってきた
・引っ越しか増築か悩んでいる

1 建ぺい率と容積率の基本を理解しよう

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を示す数値で、家が敷地のどれだけの面積を占めてよいかを決める指標です。
例えば建ぺい率60%なら、100㎡の土地には60㎡までの建物しか建てられません。
一方、容積率は延べ床面積の合計を敷地面積で割ったもので、建物の高さや階数に関わってきます。この容積率が大きいほど、上下に空間を増やすことが可能になります。
建ぺい率と容積率は都市計画法や用途地域ごとに設定されており、既存住宅がすでにこれらの制限いっぱいに建てられている場合、増築は難しいこともあります。
敷地に余裕があっても、建築面積や延べ床面積が制限を超えれば違法建築になるため、まずは「自宅が建てられている地域の指定」を確認することが重要です。
- 建ぺい率=敷地に対して建物が建てられる割合
- 容積率=延べ床面積の合計の制限値
- それぞれの制限を守らなければ増築はできない
2 増築計画の前に知っておきたい法的ルール

増築を計画する際には、建ぺい率・容積率だけでなく、建築基準法によるさまざまな制限にも注意が必要です。
たとえば、防火地域や準防火地域に指定されているエリアでは、耐火性能のある構造材が求められることがあり、結果として費用がかさむ場合もあります。
また、建築確認申請が必要になるケースも多く、増築面積が10㎡を超える場合は申請義務が発生するのが一般的です。
さらに、敷地内の建物の用途によっても増築の可否が変わってくることがあります。例えば住宅として建てられていた物件に、店舗や事務所用途の空間を増築しようとすると、用途変更の届出や、より厳格な基準を満たす必要が生じることもあります。
これらを知らずに工事を始めてしまうと、最悪の場合は建物の使用停止を命じられるケースもあるので注意が必要です。
- 地域によっては防火・耐火基準も適用される
- 10㎡超の増築には建築確認申請が必要なことが多い
- 用途変更や申請忘れには大きなリスクが伴う
3 増築を成功させるための実践的なポイント

増築を成功させるためには、まず現状の建物と敷地に関する正確な情報を把握することが先決です。
図面や登記情報を確認し、建築時の建ぺい率・容積率、敷地境界、建物構造などを整理しましょう。
次に、信頼できる建築士や工務店に相談し、法的に可能な増築規模と、構造上無理のない設計を提案してもらうことが重要です。
また、増築部分のデザインや断熱・耐震性にも目を向けることで、ただ面積を増やすだけでなく、暮らしの快適性や将来の資産価値を高めることにもつながります。
さらに、予算を決める際には工事費用だけでなく、設計費や申請費、税金などの諸経費も含めて見積もることが、後悔しないためのポイントになります。
- 現状把握と専門家の相談がスタートライン
- 法的・構造的に無理のない設計が肝心
- 快適性や資産価値も意識して設計・予算を立てよう
まとめ
「増築」は間取りや暮らしをより快適に変える有効な手段ですが、建ぺい率・容積率といった法的な制限を無視しては成り立ちません。
まずは自宅の法的条件を正しく把握し、必要に応じて建築士や専門業者と連携することで、安全かつ満足度の高い増築が実現します。
知識と準備をしっかり整えたうえで、理想の住空間づくりを進めていきましょう。
- 増築は法的制限内でのみ実施可能
- 建築確認や用途変更の申請が必要な場合もある
- 専門家と連携して理想のプランを現実に近づけよう
ハウジング重兵衛 編集部のプロフィール

リフォームを中心とした住宅業界
免許登録
・一級建築士事務所 登録番号 第1-2004-7311号
・国土交通大臣 許可(般-5)第25003号
・宅地建物取引番号(5)第13807号
資格情報
・一級建築士
・二級建築士
・インテリアコーディネーター