トイレリフォームでバリアフリー化するためのポイントとは
バリアフリーリフォームとは、生活する上で障壁を取り除くことをいい、トイレにおいては高齢の方や介護が必要な方でも使いやすい空間にすることが求められます。トイレにおけるバリアフリーリフォームではどのような工事ができるのかが気になる人もいるかもしれません。トイレをバリアフリーリフォームすることの必要性やバリアフリーリフォームでのポイント、お得にリフォームするためのコツなどをご紹介します。
◼ バリアフリーリフォームとは
バリアフリーとは、生活する上で障壁を取り除くことをいいます。バリアフリーリフォームと聞くと、手すりを設置したり段差を解消したりすることを想像する人が多いかもしれません。それだけではなく、高齢の方や介護が必要な方などトイレを使用する家族の状態を基準として、リフォーム内容を決めていきます。
今は高齢の方や介護が必要な方、身体に障害のある方がご家族にいらっしゃらないとしても、将来的に年齢を重ねていくことでバリアフリーが必要になることも考えられます。お子様がいらっしゃる場合でも段差や床で滑っての転倒が起こると危険です。早めにバリアフリーリフォームを検討されてみても良いかもしれません。
◼ トイレのバリアフリーリフォームの必要性
バリアフリーリフォームは玄関の段差をなくしたり、家のあらゆるところに手すりを設置したりするイメージが強い人もいるかもしれません。実際に必要に迫られていない状況では、トイレのバリアフリーがなぜ必要なのか想像しにくいですよね。そこでトイレのバリアフリーリフォームの必要性をご紹介します。
・安全性の確保
トイレリフォームの必要性として一番にあげられるのが安全性の確保。トイレを使用するときは立ち座りの動作が多いため転倒などのリスクがあり、力むときに危険が伴う場合もあるなど、家の中での事故が起こりやすい場所でもあります。トイレは他の部屋よりも空間が狭いため、万が一転倒してしまったときに助けにくい状態になることも。車椅子を利用している人はもちろん、そうでない場合でも広い空間にすることで安全性を確保できることもあります。
・ストレスの軽減
年齢や身体の状態によっては、トイレの出入りや立ち座りが難しくなってしまうこともあります。自力でトイレに行けなくなってしまうと体の衰えを実感し、トイレのお世話をしてもらうことで自尊心を損なうことも。トイレのために起き上ったり歩いたりすることは、老化によるさまざまな症状を防止するともいわれているため、できるだけ自力で行けるような空間を作りたいものです。本人にとってのストレス軽減という意味はもちろん、介助をする家族にとってもバリアフリーリフォームをすることで負担が軽減されます。トイレは家族みんなが一日に何度も使用する場所です。そのため家族の年齢や変化に合わせて、使いやすいトイレにリフォームしていくことが快適な生活へとつながります。
◼ バリアフリーリフォームでのポイント
バリアフリーリフォームの内容は、家族の年齢や身体の状態を基準として決めていきます。トイレのバリアフリーリフォームを行う場合、どのようなポイントに注目するべきなのでしょうか。バリアフリーリフォームを検討している人は、以下のポイントを参考にしてみてください。
・段差の解消
バリアフリーリフォームの基本的な内容として、段差の解消があげられます。トイレの入り口に段差がある場合は出入りの際につまづく可能性があるため、できるだけ解消したい箇所です。また和式トイレを使用している場合は、一段高い位置に便器が設置されていることが多いですよね。ご高齢の方や介護が必要な方にとっては大きな段差となるだけではなく、和式トイレに座ること自体が体への負担となってしまいます。バリアフリーリフォームの際には洋式トイレへに変更することも検討してみてください。
・手すりの設置
トイレでは立ち座りの動作を行うため、体への負担がかかったり転倒したりするリスクがあります。便座横の壁に手すりを設置することでリスクを軽減できるため、段差の解消と同様、手すりの設置もバリアフリーリフォームの基本的な工事となっています。
・車椅子が必要かどうか
車椅子が必要かどうか、ということもバリアフリーリフォームにおいて重要なポイントとなります。車椅子を利用している場合は、車椅子のままトイレに入れるようにしたり、車椅子に座ったままでもドアの開け閉めができるようにしたりする必要があるためです。トイレの広さにもかかわってくるため、トイレの拡張も選択肢に上がってくるかもしれません。また手洗い場の利用に関しても、車椅子対応のものに変更する必要がある場合もあります。
・寝室からの距離
トイレは起きている時間に行くことはもちろん、寝ている間に行きたいと思うことも増えてくるはず。起きている状態であればすぐに行くことができますが、寝ているときだと起き上がってから歩いて行くことに時間がかかってしまいます。起きている状態よりも更に転倒などのリスクがあるため、できるだけ寝室と近い位置にトイレがあると安心ですよね。トイレに近い場所に寝室を設けるか、トイレの場所自体の変更を検討している場合は近づけるなどの工夫を検討してみてください。
・床の素材
トイレが事故のリスクの高い場所であることはご紹介しましたが、床に使用する素材によっても転倒したり滑りやすかったりすることがあります。バリアフリーリフォームの際には、滑りにくい床材や転倒しても体を守れるような床材を選ぶことで安全性を高めることができます。
・ドアの開け方
トイレのドアには開き戸や引き戸などの種類があり、開き戸でも内開きか外開きか、引き戸にも片開きや三枚引き戸など開け方にも違いがあります。バリアフリーリフォームにおいてドアの種類や開け方も重要なポイントとなります。開き戸は気密性や防音性に優れていることから一般的にはトイレのドアに適しているのですが、バリアフリーの観点から見ると適していないことも。そもそもドアを開けるときにドアノブを掴んで重心を後ろに移動させながら開けるという動作そのものが体への負担となってしまいます。また内開きのドアだと、万が一転倒してしまったときに閉じ込められてしまうことも。そのためバリアフリーリフォームでは開け閉めしやすく、車椅子でも出入りしやすい引き戸が選ばれることが多くなっています。
◼ お得にリフォームできることも
トイレのバリアフリーリフォームは、リフォーム内容によっては規模が大きい工事になることも多いため、それなりに費用がかかってしまいます。金銭面での負担を軽減するために、できるだけお得にリフォームしたいですよね。そこでお得にリフォームするコツとして、介護保険の利用や自治体ごとの補助金についてご紹介します。
・介護保険の利用
介護保険とは、市町村が介護保険サービスを運営する財源のために加入を義務付けた制度のことをいいます。40歳になると加入して毎月保険料を支払わなければなりませんが、この制度によって条件を満たせばバリアフリーリフォーム費用の補助を受けることができます。条件は被保険者がリフォーム対象となる家に居住していることや要支援または要介護認定を受けていることなど。工事内容としては段差の解消や手すりの設置、和式から洋式への変更や引き戸への変更などが対象となっています。
これらの条件を満たした場合、リフォームにかかった費用のうち支給限度基準額20万円を上限として9割が助成されます。一度のリフォーム工事しか対象とならないわけではなくリフォーム費用が20万円になるまでは何回かに分けて申請することもできます。
・自治体ごとの補助金
介護保険は国の制度ですが、住んでいる自治体によっても補助金を出している場合もあります。国の制度とは条件が異なり、要介護認定を受けていなくても対象となることも。自治体ごとに補助金の名称や受けられる条件、補助額が異なるため、リフォームを行う前にお住まいの自治体に確認することをおすすめします。
・リフォーム減税
バリアフリーや省エネ、耐震などに関するリフォームを行う場合、所得税の控除や固定資産税の軽減といった優遇を受けることもできます。一括払いでリフォームを行った場合、最大20~25万円が所得税から控除され、ローンを組んだ場合は5年間で最大60万円が控除されます。固定資産税は1年間に限り、2分の1から3分の1に軽減されることもあるため、最新の情報を確認した上で手続きを行ってください。確定申告や書類による申告も条件となっているため、条件を満たす場合は忘れず活用するようにしましょう。
◼ まとめ
バリアフリーリフォームを検討しているとき、トイレではどのようなリフォームをできるのかが気になっている人も多いかもしれません。そもそもトイレをバリアフリーリフォームする必要性として、転倒や事故のリスクから守るための安全性の確保、本人や家族のストレスの軽減があげられます。バリアフリーリフォームでは、段差の解消や手すりの設置、床の素材やドアなどがポイントとなります。車椅子が必要かどうかによってもリフォーム内容が変わってくるため注意が必要です。
トイレのリフォームにはそれなりの費用がかかりますが、国の介護保険や自治体による補助金、リフォーム減税などを賢く利用することでお得にリフォームすることができます。ハウジング重兵衛ではトイレをはじめとする水回りのリフォームを得意としており、経験を生かしてアドバイスをすることができます。トイレのバリアフリーリフォームをご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。
ハウジング重兵衛 編集部のプロフィール
リフォームを中心とした住宅業界
免許登録
・一級建築士事務所 登録番号 第1-2004-7311号
・国土交通大臣 許可(般-5)第25003号
・宅地建物取引番号(5)第13807号
資格情報
・一級建築士
・二級建築士
・インテリアコーディネーター